石油などの化石燃料も、元を正せば生物が生み出した地球資源。 気の遠くなる永い時間が、かつて地球に降り注いだ太陽エネルギーを凝縮させたものです。それを私たちがふんだんに燃やして拡散させて地球を覆い尽くしつつあるのが、地球温暖化の危機です。 いつも太陽から降り注いでいるエネルギーは、そのままだとすごく薄くて気まぐれで、とてもそのままでは集め切れません。それで、私たちは、悠久の時間がかき集めてくれたエッセンスに頼るしかなかったのです。 でも今、膨大な太陽エネルギーの蓄積である森林を、簡単に効率よく手に入れられる資源として再認識されているのです。木を単純に燃やすと、そこから取り出せるエネルギーは蓄えられているうちの数%程度。これを酸素不足の状態で焼くとガス化して、80%まで回収できるのです。これが、木質バイオマス技術の核心です。
バイオマスの資源は、森林だけではありません。 農産物や畜産物の廃棄物、そして私たちが食べる限り排泄する人糞までも、その資源として利用できるのです。これらは地球上に人間が活動する限り生み出される膨大な資源です。その資源のもつエネルギーを高効率で回収し、そのまた残りカスまでも、この地球上で最大の生命密度のある地表面の土壌を豊かにすることができるのです。 「私たちが生きることで、自然もまた豊かになっていくことができる」ということを教えてくれるほんとうの技術のひとつ。それが、バイオマスです。
人工林の成長は、天然林のそれよりCO2の固着量を増やします。 天然林は別の観点から大切に保存すべきですが、出所の氏素性がわかっている、つまり生産(伐採)と再生(植林)がきちんと管理されている国内人工林産の木材を使う限り、地球温暖化防止に役立つのです。 木質ペレットは、人工林資源すべてを燃料にしようとするのでなく、間伐材や用材の端材、おが屑など、これまで利用しにくかったこれらを、資源として高効率にエネルギー回収しようというのです。 いま日本国内の山林のうち半数以上が、用材生産目的の人工林。しかし輸入木材の低価格に押されて国内林産業は壊滅寸前。人工林に手が入らないと山は荒廃し治山治水は衰え、私たちの暮らしの源である水の供給が絶たれます。一方、外材の生産地では経済性優先の自然略奪的開発が行われ、地球上の森林面積は減少の一途です。つまり、国内の森林資源を利用することは、海外での無責任な自然破壊を抑止し、大規模土木公共投資に頼らずに国内の治山治水を行うことにもなるのです。
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