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「断熱性や気密のこと、見聞きすることが多くて大切そうには思うけど、情報が多すぎて何が自分向きなのか、 よくわからない…。ってこと、ありませんか?
ここらで一度、情報を総ざらいして、要所を押さえることにいたしましょう。

   
 

断熱すると結露する?

1)断熱力はプロテクト力

     
   


断熱って何のためにするかっていうと、外の気温に左右されずに快適に暮らすため…、ですね。いうまでもなく厳しい自然をプロテクトするためもの。だから、自然との付き合い方によって、プロテクトの方法も変わってきます。 あなたの「わが家」にあったプロテクトをみつけましょう。

 

 
 

2)結露の秘密

         
   

断熱は、外気温度のプロテクトですが、断熱することで屋内外の気温の差が生まれます。そしてこの気温差が大きくなればなるほど、空気に含んでおける水蒸気の量も、また差が大きくなります。

たとえば、空気1kg中に含んでおける水蒸気の量は、気温20度では、約15gですが、気温0度では約4g。つまり20度に暖房され充分加湿された室内空気が、冷たい0度の外気に触れると、約11gの水蒸気が水滴となって現れます。これが結露です。
断熱をして内外温度差が大きくなれば、低い温度の部分で結露が起きます。 そして、壁の中などで結露がなかなか乾かないと、カビやダニ、腐朽菌、シロアリなどが互いに呼び合ってしまいます。もし木造なら、壁の中などの木は簡単に腐り始めます。

   

こういうことから、「断熱すると結露する」とだけ思いこんでいる方がいらっしゃいますが、断熱するからではなくて、暖房をして室内温度を上げるからというのが正確な言い方。暖房する以上は、暖房費を抑えるために断熱材は必要でしょうし、結露防止策も断熱とは表裏一体で、書かせません。

 

   
 

結露と気密

1)結露防止としての気密性

         
   


断熱による壁の中の結露防止の対策のひとつに、壁面の気密性を上げることがあります。室内側から空気が漏れないようにする(気密性を高める)と、水蒸気の漏れも同時に防ぐ(防湿)ことができ、水蒸気が冷たい外気に触れないので結露しない。というわけです。

もうひとつの気密の効果は、すきま風(漏気)防止です。せっかく断熱材で外気の熱をプロテクトしても、すきま風が多ければ効果半減。またスースーの作りでは、汚れた空気や不要な熱が混ぜ返され、効率的な換気ができないということもあります。 でも、この効果は断熱があってからこそ必要なこと。断熱と気密は切り離せない性能です。

 


空気中の水分量は、気温で変化
  2)その他の結露防止対策

         
   

一方、気密以外にも結露防止の対策があります。
水蒸気をひとところに止めておかないようにすること(通気)と、湿気を吸ったり吐いたりする性質(吸放湿)を利用することです。 壁に通気層を設けて、水蒸気がいつも流れ出ていくようにすることは、結露対策にはどうしても必要なことです。

また、天然の建材は、湿気を吸ったり吐いたりします。これは、微細な空隙が湿気を蓄え、乾いた方に毛細管現象で湿気が移動するという性質のことをいいます。天然系断熱材だけでなく、木材や調湿炭、珪藻土などの自然素材がもつ長所です。

石油系繊維断熱材にはこの吸放湿性がないため、一度湿ると表面が乾いても内部の湿度が表面へ出ずに乾きにくいのです。 壁の中の通気と建材の吸放湿を生かすことは、結露対策としてたいへん大切なことです。

 


壁の中の通気と、 自然素材の吸放質
 

断熱気密の方法

 

1)断熱材

     
   

□ 石油化学繊維系断熱材
グラスウールやロックウールなどの綿状のもの。比較的安価で、内断熱ではもっとも一般的。一度湿ると乾きにくいのが最大の弱点。

□ プラスティック系断熱材
ポリスチレンやウレタンフォームなど。熱だけでなく空気や湿気や水分をも通しにくい材料ですが比較的高価。板状のものや現場発泡のものがあります。

□ 天然繊維系断熱材
木質繊維断熱ボードやココヤシ繊維、羊毛など。健康や環境への負荷が少ないことと高い吸放湿性が最大の長所ですが、高価。

 

   
       

2)断熱工法

   
   

□ 内断熱(軸間断熱、充填工法)
一般に普及しているのが、壁の中に断熱材を詰める方法。 壁の中の空隙を利用するので手間がかからず、比較的安い石油化学繊維系断熱材がよく使われます。柱や梁や設備配管などのところで隙間なく貼り込むのは技術が必要。プラスティック系の板状断熱材や吹きつけ断熱材、天然系繊維断熱材も使われています。 いずれの場合も水蒸気の動きを計算して、結露対策を充分行っておくことが大切です。

□ 外断熱(外貼り工法)
壁の外側をぐるりと断熱材で包み込む方法。
耐水性に強いプラスティック系板状断熱材がよく使われます。それ自体が湿気を通しませんし、万一結露しても壁の外なので、通気性さえ確保すれば安心できます。また壁の外をくるむ方法なので、断熱材を隙間なく貼り込むのが容易です。
でも、断熱材の外にさらに壁材が必要なことと、プラスティック系板状断熱材自体が高いことから、外断熱は全体にコスト高になります。繊維断熱材を使うときは、雨水対策に注意が必要です。

 

   
 

住まい方の選択

1)本当の省エネって?

       
   


いまでは断熱気密性能を高めるために、プラスティックなどの石油化学系建材が普及しています。でも、断熱の建前「省エネ」のために、石油という化石資源を使うことは、矛盾を孕んでいます。そしてその廃材はデッドエンド。自然に返りません。膨大なリサイクルエネルギーを使わない限り、断熱気密材はいずれ埋め立てゴミです。本当に「省エネ」「温暖化防止」を念頭におくなら、断熱気密材の生産から廃棄までの全体の環境負荷(LCA:ライフサイクルアセスメント)を判断しなくてはいけません。石油化学製品を使った断熱気密の「省エネ」だけがすべてではありません。

環境負荷の小さい天然素材を使った断熱材で、結露も防ぐことができるなら、それが一番。でも、まだまだコスト高。他の天然系建材と同様に、環境コストを、それを利用する人だけが負担するのかという矛盾を抱えています。 いま、ほんとうの「省エネ」生活がお金がないと出来ないというのは、何かヘンですね。

 

 

2)風土と住まい方

       
    家づくりは、その地の気候と風土で違うもの。 住まい方や気持ちよさの感じ方は、やはり人それぞれ。 だから、断熱気密の考え方や方法も、いろいろあってしかるべきです。
あるひとつのやり方(工法)だけが万能で、すべての家庭にふさわしいということはあり得ません。そのモノを買わないと、またはあるトコロに行かないと幸せにならないという(強迫観念を植え付けようとする)主張には組みしない方がいいでしょう。○△工法がいいとか、よくないとかいう議論より、どういう気候の地域にどんな暮らしができるのか、そういう情報こそが、ほんものなんでしょうね。
   
             




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