基礎は、いうまでもなく建物を支える一番大切な部分です。ふだん建物の自重や家具などの重さや、地震や台風のときに建物に加わる力を、しっかりと地盤に伝える役割があるからです。基礎が、期待したとおりの強さをもっていないと、建物が傾いたり、地震などのとき建物の足がバラバラに動いてしまったりして、建物全体の変形を大きくしてしまい、建物は壊れやすくなってしまうのです。
建物の地震などの力への抵抗力は、建物が押されて傾いたり変形したりするときの、一定の変形量に達するまでの抵抗力を持っているすることを前提として建築基準が定められています。だから地震等の力が加わる前に、もし地盤不良などの原因でふだんでも建物に変形が生じてしまっていては、力が発揮できる変形量が限られてしまう、余裕がなくて力が発揮できないという結果を生んでしまいます。
ですので、そういた変形を小さくするためにも基礎はしっかりしたものでなければいけません。そして地盤はその基礎を支えるのですから、地盤がよくないと、いくら基礎やうわ物がしっかりしていても、それらを地盤が支えきれず、凸凹に(不均等に)沈下させたり基礎を割ったりしてしまうことがあります。地盤の大切さがいわれるもこのためです。
品質確保促進法が出来て、住宅会社の造る家の性能もずいぶんしっかりしてきましたが、それでも地盤や基礎への配慮が不足していると見受けられる家がまだまだあるようです。平成14年までに改正建築基準法による地盤基礎に関わる新しい規定が出そろいました。これにより、住宅基礎の工法は、地盤の強さに応じて選ぶこととなりましたが、実は基礎工法の種別は、地盤の強さだけでなく沈下の可能性や地下水の影響、あるいは擁壁との関係などを考慮しなければ決められません。建築基準はあくまで最低基準であり、実際の建物の性能は、設計者の責任に帰することに変わりはありません。
地盤と基礎は、住宅建設の中でも目に見えない分、なかなかその性能を確保しにくい部分です。地盤調査を充分に行い、できるだけ安全側に余裕を持って設計し入念に工事をしておくことは、安心できる家づくりのそれこそ「基礎」です。
|