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1)ものづくりの考え方
とらえどころのないイメージを、どのように筋道立てて具体的な形にしていくのか、少しかみくだいてお話ししてみます。
わたしたちは、何かあるものを造り上げようとするとき、知らず知らずのうちに頭の中でなにがしかの「筋道」をつけています。
その「筋道」のつけかたには、暗黙のうちにある一定の法則、その時代や地域文化に共通
するいくつかのクセがあります。
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そんな中でも私たちの考え方のクセとして、古くからからだに染みついて変わらないものがあります。それは、当然といえば当然なんですが、「生物の姿」に照らし合わせて、ものごとの筋道立てを考えるクセです。
重力をささえ風に対抗して根や足で立つこと。あるいは、幹や骨がものごとの中心に筋道としてあり、そのまわりに枝や葉、肉や皮や毛が秩序だってあること。この「身体的なイメージ」こそ、私たちだれもに共通
する、筋道立ての基本です。
家づくりにあたって、こういう「身体的なイメージ」が、わたしたちの考え方の根底にあるということを、ぜひ思い出してください。 |
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2)建物の構成
「身体的なイメージ」に照らし合わせる考え方は、建築そのものについても言えます。
造り方の発想は、こうです。
足元の地盤を固め、その上に基礎を築き、骨組みを組み立てます。骨組みができますと、それにそって屋根や壁や床を作り込み、最後に仕上げをします。
構造的な考え方も、骨組みで力を足元や基礎に伝え、二次部材(主要な構造部材以外の部材)をその廻りにまとわせると、考えます。
部材自体も、骨・肉・皮というイメージに置き換えると理解しやすいでしょう。
たとえば、壁のつくりについても、
柱や梁あるいは壁の小舞 : 骨、骨組
土塗や断熱材や内装ボード : 肉
塗装やクロス : 皮
とみるとその役割は解りやすくなります。
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部品の種類が少ない建物(例えば、エスキモーの氷の家や、ピラミッド、あるいは岩窟住居など)は、別のイメージと言ってもいいかもしれません。
身体的イメージの筋道立ての考え方は、多種で複雑な部品を組み上げる建物の場合には、有効だということがわかります。
建築工事は、何も専門家だけの複雑な思考や手続きでできているのでなく、ほんとうにあたりまえの、身体のつくり的な考え方によっています。
建物を造ったり改造したり修繕したりすることは、恐れるに足りない、自前の考え方で充分できることなんです。
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3)設計の段階 |
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さて設計をするときも、やはり身体的なイメージで、骨と肉付けの考え方に沿って進めるのが、わかりやすく無駄がありません。
足元を固める = 条件を確認して目標を定める <基本計画>
骨組を建てる = 構成を考えて具合を見定める <基本設計>
肉付けをする = 細かく工事の実際を決める <実施設計>
仕上げる = 工事の実施と完成 <工事監理>
という段取りになります。それぞれの段階で、いろいろな分野との「折り合い」をつけてゆき、最も効果的でバランスがいいように、考え上げていきます。家づくりの考え方は簡単でも、思いつきだけではなかなかまとまらないうらい複雑なものです。しっかりした骨組みに、手厚い肉付けで、きれいな仕上げができるよう、筋道立てて進めてください。
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